2012/10/28

包丁について調べたこと


 包丁が折れたことで始まった包丁探しの旅。

調べてみて、ようやく輪郭がぼんやりわかってきたのでメモも兼ねて書きます。

 まず折れた次の日に注文したのが、関孫六の6000ST。
折れた5000STの一つ上のランクになります。
でも使ってみたらバランスが悪くて使いにくい。
切れ味も、まあ普通。
これじゃ料理が楽しくない。

 というわけで、もう一度しっかり調べて買ったのがコレ。
G.SakaiのVG-1シリーズ、「空」

非常によく切れます。
普通の家庭で育ってきた人にとっては、新しい体験になるくらい切れます。
それでいて送料込みで6500円くらい。
ホームセンターの安包丁にくらべれば倍くらいしますが、間違って割ったり、大きく欠けたりしないかぎりは10年使えるものだと考えれば、これはかなりのリーズナブル。
ちなみに、リーズナブル、とは、リーズン(理由)からきていて、つまり合理的な値段、納得の値段だということを意味していて、決してクソ安いという意味ではないです。

上の6000STは重心が後ろにありすぎて、まったくオススメできません。

下がオススメの「空」

使ってみて、ああ、使いやすいってこういうことなんだな、と。
刃に指を当てると、そんなに刃が立っている感じはしないのですが、産毛なんかは気持ちよくなるくらいスーッと剃れます。
6000STに比べて刃が硬いんでしょうね。
逆に6000STは刃が柔らかいので、刃を立てないと切れない。
なので、指で触れるとものすごい切れそうなのですが、刃が立っている分だけまな板にあたった時に刃が丸くなりやすく、切れ味が直ぐに落ちてしまいます。
直ぐに、といっても、これだって5000円くらいする包丁ですから、それなりには切れますけどね。


さて、包丁選びについて。

まず、僕は洗ったあとにしっかり吹いてから仕舞う、なんてことはできそうもないので、錆びない金属、つまりステンレス包丁しか選択肢がない。

その中で、使いやすくてリーズナブルなもの、というテーマでいきます。


包丁に求められるのは。。。

まずよく切れること。
そして、その切れ味が長続きすること。
さらに、切れなくなった時に研ぎやすいこと。

そのニーズを満たしたステンレス系金属を使っている包丁を探せばいいわけです。


切れ味というのは、ほぼ金属の硬さに比例するらしく、その硬さは「ロックウェル硬さ:HR」という尺度で表されます。
HRC50とかHRC55とか。
数字の大きいほうが硬い、つまりよく切れる金属です。

しかし、硬すぎると研ぎにくいですし、キンキンに研いだ時に脆く欠けやす事になってしまいます。

 
硬いほうが切れるのは、まあすんなり理解できます。

しかし、じゃあ硬くてよくキレて、しかも研ぎやすくて、モロく欠けないっていうのはどういうことか、ということになりますよね。

あまり理解できなかったのですが、「空」を使ってみて「ああ、そういうことか」と感覚的に分かった例は、シャープペンの芯です。
100均のクソ安いシャープペンは、硬くて書きにくいくせに、折れやすくて、つるつるしてますよね。
逆に有名メーカーの芯は、粘りがあるのに、パリっとしていて、書きやすい。
あんな感じの違い。

だいたいHRC58~60くらいがいい包丁向きだそうです。



では、包丁向きのよいステンレス系金属を紹介。
この金属を使っている包丁は、切れ味については問題ないでしょう。


V金1号
これは僕が買った空の金属です。
武生製鉄が生産している金属だそうです。
VG1のGはゴールドかな。
硬くて、それでいて僕みたいな一般の人でも練習すれば研ぎやすいレベル。
普通の家庭で、これで物足りなくなることはないと思います。


V金10号
武生製鉄のVG1の、ひとつ上のランクの金属。
VG1よりも切ることや耐久性に関してはいろいろいいらしい。
けど、VG1に比べるとやや研ぎにくい。
と言っても、いわゆる硬いステンレスのなかでは研ぎやすい方らしいです。
いい包丁を探すと必ずこの金属にあたります。
例えばコレ、FV10
 


銀紙3号
日立製鋼が生産している金属です。
もちろん1号とか2号とかあるんでしょうけど、いい包丁となると3号らしいです。

ATS-34
これも日立製鋼で、銀紙3号を改良したもの。
武生製鉄のVG1に対するVG10みたいに、銀紙3号に対してATS-34みたいなもんかな、って思ってます。
これがよさそう。


G.SAKAIの空の三徳はとりあえず買って後悔はしないんじゃないでしょうか。

これで物足りなくなったら、牛刀とかペティとか、それぞれ専門性の高い包丁はより高いものを選んでいけばいいのかな、と。

追記
アマゾンの包丁をスペックだけでおすすめする試み
http://skylures.blogspot.jp/2015/02/amazon.html

18 件のコメント:

  1. 候補から外された関孫六ダマスカスシリーズの芯材はVG-10ですよ・・・

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  2. 道楽くんさん、ありがとうございます。

    VG10ということは知っていたのですが、刃渡り165mmで290gということで、たぶんバランスが関孫六の6000STと同様かなと思って候補から外れました。

    あと僕は研ぎが下手で、せっかくのダマスカス模様が傷だらけになりそうというのもあって(;´∀`)

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  3. なるほどそうだったんですね。
    ちなみに関孫六ダマスカスはサンドイッチ状のフルタングではないので柄が軽めです。
    自分は165mmが短く感じるので210mm牛刀の先端をグラインダーとサンドペーパーで三徳風の先端形状に仕上げて使ってます(10mm減)。
    確かに研ぎが得意でないと敷居が高く感じるかもしれませんね。

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  4. あ、柄は軽めなんですね。
    三角断面でかっこいいけど重そうだなと思ってました。

    グラインダーは僕の包丁の世界にはない発想でした(汗)
    言われてみれば牛刀は3cm刻みで、その間があってもいいですよね。

    VG10といえば、藤次郎のDPコバルトのペティを持ってまして、さすがによく切れますね。
    VG1とどっちが切れるというわけではないのですが、10のほうがじゃっかんねっちりと粘りがあるような気がしています。
    その分薄く砥げるというか。

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  5. 道楽くん2014/06/29 7:10:00

    気になる部分は何でもカスタマイズしてしまうんですよね。
    180mmまで詰めようと思ったのですが思いのほか200mmも扱い易いです。

    VG1は持っていないので藤次郎VG10との比較は興味深いです。

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  6. なんでもカスタマイズは共感できます笑
    僕もロッドを買うとまずリールシートを削りますので。

    VG1と10の素材の違いは僕レベルでは殆ど感じられませんが、空は見た目はありきたりな三徳包丁ですけど、箱を開けてみたら片刃なんですよね。面白いな~と。

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  7. なんと、片刃に刃付けしてあるとは珍しいですね(笑)

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  8. 確かに関孫六の6000STはクソです。
    何故ならば中国で生産していて、製品に非常にばらつきがあるからです。
    製造のやり方としては4ミリ厚の鋼材を型抜きしてそれを機械式ハンマーで鍛造して3ミリ厚の刃物になる様に仕上げているそうですが、何せ中国人がやっているのでどうしようもない所があります。
    また貝印の製品の殆どは型抜き庖丁で有り、ローラープレス鍛造なので、品質的には安定しているのですが、性能的には決して高い物ではありません。
    そうなると、切れ味や耐久性と言った包丁の性能は鋼材の善し悪しに左右されます。
    実は5000STは13クロムのモリブデン合金なので大した性能がありません。
    この価格帯でしたら5000CLか4000STのほうが性能が上です。
    5000STはkai gold材というステンレスを使っています。
    4000STはAUS8を使っています。
    この2種類は非常に研ぎ難い素材なのですがばっちり研げるとかなりの切れ味と耐久性を発揮します。
    AUS8は440C鋼材のやや落ちぐらい、kai gold材はVG-1かVG-5のやや落ちぐらいです。
    因みにkai gold材は貝ゴールドステンレス鋼という名でカミソリの刃にも使われています。

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  9. >>確かに関孫六の6000STはクソです。

    私の心の叫びを代弁していただいてありがとうございます(^_^;)
    料理中に非常にがっかりしたしたのを覚えています。(もう4年前になるのか…。)

    それでもそのがっかりから勉強できたので、今は穏やかな気持ちで6000STを凍った肉用として使っています。
    5000STを買っていたらそれで満足していたかもしれません。

    >>5000STはkai gold材というステンレスを使っています。
    5000STのkai goldは、AB-5100のものと同じでしょうか。
    サイトを見たらどちらも「モリブデンバナジウムステンレス刃物鋼」とあったので。
    AB-5100を使っていたので「ちょっと別の金属使ってみたいな」と思って5000STを除外したのを思い出しました。
    家庭で使うには十分ですよね。


    中国人のものづくりは私も全く信用していませんが、包丁に関して言えば中国がどうこういうより日本だけが異様な高みにいる気が…。
    たぶん一般家庭で5000番以上の砥石をこれほど買う民族は日本人くらいじゃないかなと思っています。

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  10. >>5000STのkai goldは
    タイピングミス
    5000CLのKai-Goldは

    http://cr123a5678b.blog.fc2.com/blog-entry-211.html

    >>5000STのkai goldは、AB-5100のものと同じでしょうか。
    AB5100とは別の金属です。

    品番はAE5100になります。
    KAI-GOLD材はモリブデン・バナジウムステンレスかも知れませんが、
    VG-10並のコバルト含有量と、タングステンがかなり多いです。
    ばっちり研げると、VG-10と遜色ない切れ味とVG-10を上回る耐久性を発揮します。

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  11. >>シェリルミノー氏

    AB5100:通称5000ST匠創は普通のモリブデン合金です。

    研ぎ師として言わせて貰えば、研いだ感じ最も近いと思われるのは、グローバルです。
    硬さ、粘り、切れ味、刃持ちともグローバルに酷似していますが、微妙に違います。
    まあ、素人には見分けが付かないレベルですが・・・・・・

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  12. >>ばっちり研げると、VG-10と遜色ない切れ味とVG-10を上回る耐久性を発揮します。

    そんなにいいんですか汗
    5000CLをAmazonで見たら3200円なんですけど、この値段でいいんですか。

    グローバルはヨメの実家のメイン包丁で、頼まれて研いだことがあるのでイメージつきやすいです。
    見た目がアレなんで特種感ありますけど、総合力が高い普通にいい包丁ですよね。

    ただ、グローバル1本で5000CL3本買えちゃうのが恐ろしい。

    「グローバルってどう?買っても大丈夫?」って聞かれて、「いいよ、見た目好きなら買うべき」って答えたことありますけど、この価格差知ったら躊躇しちゃいますね。

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    1. 5000CLって確かに安い!
      安いんで大丈夫か?って思うけど、結構しっかりしているよ。
      それに普通にホームセンターに置いてある。
      ホームセンターだと5200円ぐらいで売っている。
      後、詳しい性能だけど、性能実験を舌結果が私のブログに載っています。
      ご覧下さい。

      http://cr123a5678b.blog.fc2.com/blog-entry-211.html

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  13. ブログ拝見しました。
    何本も研いできた研ぎ師さんならではの検証&文章ですね。
    さっそくFeedlyに登録しました。
    そして釣り師だったんですねw

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    1. はい、釣り師です。時々大物を求めて海へ釣りに出かけます。
      そして世界で唯一の翡翠の砥石の使い手です。
      今の所私以外に翡翠の砥石を使う研ぎ師は居ません。

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    2. 鯖の折り方で「あ、この釣り師だ」とわかりますw

      ブログの過去ログ面白かったです。
      カプサイシンとか、ヤクセルを買う話とか。

      あと普通の主婦の方が不要なほどの高い包丁を薦められて言われるがままに買うという話などは、商人と技術者の違いですよね。
      あの主婦の方に5000CLを勧めるような商売人が最終的にうまくいくような社会になってほしいなと。

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    3. >>あと普通の主婦の方が不要なほどの高い包丁を薦められて言われるがままに買うという話などは、商人と技術者の違いですよね。

      商売人としてはそれで良いのかも知れないが、人として間違ってる気がする。

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  14. それから、5000CLのKai-Goldですが、開発した貝印でさえまともに刃を付けられなかったという曰く付きの素材です。

    まあ、使い捨てるカミソリの刃だったらグラインダで付けた刃でも問題ないと思いますが、包丁はそういう訳には行きません。
    余程腕のある研ぎ師で無いとまともに刃付け出来ない素材です。
    刃付けするのが非常に難しいんですよ。

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