カスミでアメリカナマズを狙うと、黒くてゴツくて頭が2つに割れている個体と、それよりは色が薄くて細くて頭が割れていない個体が釣れる。
頭が割れている個体を、我々は勝手にニコちゃん(大王)と呼び、割れていない方は特に何と呼ぶこともなく「あ、ふつうの方・・・」みたいに濁して呼んでいる。
体色は環境の影響を受けるものだが、同じ場所で釣れてもやはり黒と茶色に別れるため、環境の影響だけではないとわかる。
この違いはサーモンの鼻曲がりみたいに性別によるものしれないし、これだけ外見的特徴が別れるのだからそもそも種類が違う(チャネルフィッシュとブルーフィッシュ)可能性もある。
さらにハイブリッド個体というのもある。
完全に調べることは難しいと思うけれど、今回は特に『ニコちゃんは何者か?』というテーマで、グーグル検索と実釣でゆるく調べた。
まずはチャネルとブルーの違いについて調べてみた。
https://www.youtube.com/watch?v=udYENQax_18
http://www.catfishedge.com/catfish-species-basics/
僕が英語圏に住んでいたのは、1年弱の期間で、しかもそれは10年以上前のことだから、英語を読むのも聞くのも楽ではない。
それでも出来る範囲で動画と上記サイトから違いをまとめると、
チャネルキャットフィッシュ
・斑点がある。(大きくなるときえることも)
・尻ビレの鰭条(きじょう)という骨みたいなものが24~29本ある(動画のおっちゃん説では28本以下)
・尻ビレの全体的なカタチが丸みを帯びている
・30ポンド(13.5kg)を超える
ブルーキャットフィッシュ
・斑点がない
・尾びれの鰭条(きじょう)が30~36本(動画のおっちゃん説では29本以上)
・尻ビレの全体的なカタチが四角い
・100ポンド(45kg)を超える
では実釣した個体で確認してみる。
1本釣るとPEラインにヌタヌタが絡みつき、指でしごくと、ヌタヌタがまとまって移動はするのだが、まとまるだけである。
ハサミでヌタヌタのまとまりを切るようにしないと、完全に除去することは難しい。
要するにキモいから触りたくないのだ。
それでもまあ、この茶色い方は斑点がいっぱいだし、尻ビレの鰭条もざっくり数えて25~27くらいか。
もう明らかにチャネルだ。
問題はニコちゃんである。
小さなニコちゃん(約40cm)
頭が割れているし、黒い。
しかし尻ビレの形は、四角く見えなくもない。
微妙である。
大きなニコちゃん。(約60cm)
よく引いた。
こいつがブルーなのか、はたまたチャネルなのか。
斑点は・・・ほとんど見られない。
ブルーかもしれないし、チャネルでも大きくなると消える、という現象かもしれないし、なんとも言えない。
尻ビレの鰭条の数は、ヒレがたたんでいるため正確ではないが、28本に見える。
もしかしたらあと1本くらい引けるかも知れない。
1本引いたらおっちゃんの説ではブルーになってしまう。
うーん、微妙。
はっきり言ってよくわからない。
もっとよく記事を読んでいると、どうやらハイブリッド個体というのがいて、しかもそれはありふれているということがわかってきた。
ちなみにハイブリッド個体について検索すると、釣りではなく、学術サイトが増える。
研究では、F1とかF2のように雑種の世代を厳密にしているため、この個体の写真が見たいところが、残念ながら論文のアブストは文字しかない。
http://www.ag.auburn.edu/fish/mediagallery/2014/03/17/channel-blue-and-hybrid-catfishes/
写真はブルーとチャネルとハイブリッド。
雑種の世代まではわからないが、釣り人がテキトーに言ってるハイブリッドではなく、意図的に作られたちゃんとした養殖用のハイブリッドだろう。
米国ではナマズは養殖されていて、ハイブリッド個体はナマズ養殖屋に好まれている。
ハイブリッド個体のほうが抵抗力があり、成長も早く、かつ成長の個体差が小さく、生産性が高いらしい。
つまり、さきほどありふれたと書いたが、養殖のナマズはほとんどがハイブリッドらしいので、その数はけっして少なくないのだ。
日本にどのような経緯で入ってきたか知らないが、仮に『食用』という目的で日本に入ってきたとしたら、上記の特徴からおそらくハイブリッドだろうと考えるのが自然だ。
ちなみにハイブリッドの組み合わせはブルーのオスと、チャネルのメスの交雑だそうだ。
その逆があるのかどうかはわからない。
ハイブリッド個体の抗体反応をテーマにした論文も見つけたが、その組み合わせもブルーのオス、チャネルの雌だった。
養殖用のハイブリッドに限れば、すべてその組み合わせなのだろうと思う。
養殖ではなく自然環境での交雑については、「マニュアルストリッピング(鮭みたいに腹を割いて卵を出して人工授精させる方法)」と「ペンスポーニング」を比較した論文があり、僕の英語力のせいでこのペンスポーニングの意味がわからないのだが、かりに自然交配という意味だとすると、自然環境でもハイブリッドが生まれていることになる。
もちろん養殖用ハイブリッドは腹を割いての人口受精だ。
話がそれてしまったが、今のところ結論は出せない。
ハイブリッドがこんなにありふれているとは思わなかった。
米国の釣りサイトの写真も、もしかしたらブルーかもしれないし、もしかしたらハイブリッドかもしれない。
次回はオスメスの違いについて調べる予定だが、チャネルのオス・メス、ブルーのオスメス、ハイブリッドのオスメスの違いを全部調べなきゃいけないかと思うと気が遠くなってきた。
最後にブルーキャットフィッシュで画像検索して出てきた画像を並べてみる。
たぶん全部ブルーだけど、もしかしたらハイブリッドが混ざっているかもしれない。
個人的な印象になってしまうけれど、ブルー顔は、カスミのニコちゃんより顔よりも小さい気がする。
<参考>
・おっちゃんによるブルーとチャネルの違い説明動画:
https://www.youtube.com/watch?v=udYENQax_18
・キャットフィッシュのビッグ3のタイプ:
http://www.catfishedge.com/catfish-species-basics/
・チャネル、ブルー、ハイブリッド:
http://www.ag.auburn.edu/fish/mediagallery/2014/03/17/channel-blue-and-hybrid-catfishes/
・ブルー雄とチャネル雌のハイブリッド個体の、エラ症原因菌に対する抗体反応のサマリー:
http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1577/1548-8667(1996)008%3C0249%3ASAAROC%3E2.3.CO%3B2#.U-AhxON_s0p
・ハイブリッドキャットフィッシュの商品としての優位性:
http://www.thefishsite.com/articles/1326/hybrid-catfish-offer-performance-advantages-for-us-catfish
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